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組織エンゲージメントの大切さ

Date:2019.04.07

売上高1億円、営業利益率30%、従業員25名の会社を想定してください。
その会社の売上高を10%、営業利益率を5%向上させれば営業利益額はいくら上昇するでしょうか?

はい。正解です。
改善した数値は売上高1億1千万円、営業利益率35%となり、営業利益額は3850万円の850万円上昇となります。
現状の会社全体の営業利益額は3000万円なので、22%の利益率改善ということになります。

ここまで大丈夫ですよね。

では改善した売上高10%と営業利益率5%はどこから捻出してきますか?
新規顧客数を増やす、顧客の回転を上げる、売上単価を上げる、値引きを減らす、仕入れを下げる、アップセリング(周辺商品の販売)を増やすなどでしょうか(ここでは季節指数、商品ポートフォリオの変化、販売管理費は考えないでください)。

でも、このような働きかけは社内で日常茶飯事に行われていますよね。
だから急に利益改善を計画しても結局は終ってみれば相も変わらない着地になるのです。

さらに悪いことに現場の営業スタッフたちは疲弊し、管理者は頭を抱え、従業員は帰れなくなり、経営者トップは常に頭に血が上り、罵声が飛び交う雰囲気のよろしくない空気が会社を覆い尽くすようになっていきます。
そうなれば負の連鎖スイッチがONになります。
優秀なスタッフから順に会社を去り、新卒中途関わらず人は集まらなくなり、既存のスタッフの業務量が膨大になり、売上高や利益は逆に減少、債務が増え続け、いつかは破綻という末路が待っています。

伝わっていますか?
「わが社もここいら辺りでもっと利益を上げていこう」と取り組んだ挙句、真逆の結果を招くという事を。

 

 

 

Contents

利益改善に失敗するときの特徴

ではなぜこういった正逆ひっくり返った負の連鎖方程式が成り立ってしまうのか?
そこにはいくつかの施策の失敗と手段の間違い、大きな勘違いというバグが発生しています。
それを紐解いてみましょう。

大きな勘違い

会社は常日頃から最大の売上げや利益を追求しています。
「今月はこのくらいでいいや」とか「オイオイちょっと利益上げすぎじゃないのか、キミ」とか
そんな会社、まぁ無いですよね。
だから突然トップから「今期からわが社は昨年対比10%の売上を目指すぞ」と言われたところで良案や妙策が出てくるはずがないのです。
逆に「ではこれをやれば上がります」というのが出てくるならば、それはそれで「おいおい、あるならば既にやっておけよ…」となりますよね。

手段の間違い

それでも会社が掲げた大きな目標に対し、スタッフたちは真剣に答えようとするわけです。
毎朝朝礼でスタッフ集合し、時には経理や総務スタッフも集めて全社課題に対し全スタッフで会議を繰り広げます。
その時のみんなの本音といえば、
”お客様に昨日も一昨日もお願いしに行っては断られたけど、また今日も行くのかよ…”
”押してダメなら押し倒せって、無茶だよなぁ”
”原価でお願いしてもどうだか…”
”こんな会議は営業スタッフの責任だろうがよ”
”あ〜ぁ今日も残業しなきゃ…”
などなど。

特に中間管理職の方、こんな手段を取っちゃっていませんか?
ひとりで盛り上がってはいませんか?

あるある劇場

社長:本部長、今期の重点課題である利益向上は大丈夫だろうね。
本部長:鋭意努力中です。必ずや達成してみせます。

本部長:課長、どうなってるんだ。全然計画まで進捗していないじゃないか。
課長:はい、鋭意努力中でございまして…。
本部長:努力なんてどうでもいいから、とにかく結果を持ってこい。

渦中の朝礼
課長:おいお前ら、いい加減成果出してこいや。やる気ないなら辞めてもいいんだぞ。代わりはいくらでもいるんだからな。この際利益は度外視して、とにかく売上高を持ち帰ってこい。
スタッフ:(心の声)うわぁ〜かなり怒ってるよ。こりゃ利益なんてどうでもいいから売上高作ってくるべきだな〜。
ついでに転職サイトに登録しとくべきかなぁ。

月次決算
社長:おいキミッ。この数字は一体何なんだ?
本部長:は、はい。売上高は計画達成なのですが、利益が…。
社長:いくら売上があがっても利益がなくちゃ何の意味もないじゃないか。

スタッフ数名:お世話になりました。今月限りで…。

成功に向けて注力すべき点

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改善点の検証

-自社の持つ商品・サービスをさらに深く検証してみる

案外見落としがちな点や時代変化へのマッチング、ミスマッチなど見つかります
部門横断で検証し、開発やサービス現場の声を販売に取り入れる

-顧客視線で商品・サービスを考える

売り手側のセリングポイントと買い手側のバイングポイントのずれを修正する
購入顧客へのアンケートを獲得してみる

-既存顧客に絞ったアプローチを考える

データのある既存顧客に対し、情報内容にフィットしたアプローチを模索する
代替サイクルを少しだけ早めるメリットの提案をする

-アップセルを考える

周辺商品やオプションからの提案と、そこから本丸商品への代替提案を促進する
顧客単価の向上を考えておく

正しい施策

改善点の検証で溢出した具体的なアイデアや改善すべき点をアクションプランにおとす。
責任者、実行者、目的、実行内容、進捗測定、完了日時を明確にし、報連相のタイミングを決めておく。
しっかり煮詰めたアクションプランを完成する事で管理すべき点が絞られ、進捗把握、リスケ、プロセス精度や改善指示などが明確になる。
結果はこれらの積み重ねと割り切る。

正しい手段

正しい施策が決まれば、後はこの施策が進捗につれてブレが生じれば補正する、足らなければ推進させる、成果が見られなければ改善する、成果が期待以上であればダイバシティに組み込む、他部門の協力が必要な時に依頼する等のマネジメントを行うことに徹する。

正しい認識

昭和の根性論では状況は打開できません。
現場、現実は平成から令和の新時代に突入しています。顧客接点に関わる人々はスタッフもお客様も現在に生きているという事を認識してください。古い経験は役に立たないかもしれないということを理解してください。
そして相手に合わさせるのではなく、こちら側が現場、現状に合わせてください。

人のエンパワーメントを高める

企業の原動力は人財です。
彼ら彼女たちが自分たちで考え、工夫し、良きに計らう自律した個のエンパワーメント発揮の実現にこそ、マネジメントの舵をきるべきです。

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組織エンゲージメントを高める

一人ひとりが自律して顧客のため、会社のために行動するスタッフに対して、上司や仲間は互いにそれを讃え、誇りに思い、それを示せば自ずと組織のエンゲージメントは高まります。
そんな会社の空気感、雰囲気はお客様や競合他社、異業種の他社でさえ感じ取ります。
そんな会社にはお客様も入社希望者も集まるし、ましてや自社のスタッフの離職は減少するでしょう。

 

まとめ

日本の高度成長期には終身雇用や年功序列の素晴らしい制度があり、縦型の官僚型(ヒエラルキー型)組織が企業の組織体としては成長に適していました。しかし現在の超資本主義、成果主義、個人キャリア形成の時代においては、現場・現物・現状・原理・原則を取り入れやすい横型のティール型、ホラクラシー型組織の導入も考えておいたほうがいいでしょう。いきなりの改革や極端な偏重ではなく、自社の目指す姿やありたい姿、風土、文化を考えて徐々に、幾分かをシフトしていく方法で改革してください。

そして冒頭の売上高10%、営業利益率5%向上、結果22%の利益率改善の方法をスタッフ力・組織力の観点で解決策を考えてみてください。
25名のスタッフということですので一人あたり1%の利益率貢献を果たすにはどうすれば良いか(単純計算でいえば25%の利益率改善)?
部門別による貢献率の値はどのくらいが適当か?
誤差の修正をどこで(誰で)まかなうか?

ぜひ経営を「個のエンパワーメントと組織エンゲージメント」という観点でも考えてみてください。

 

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