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素晴らしい価値(製品・サービス)であふれる社会

Date:2019.05.18

企業が提供できる価値(存在する価値)は製品とサービスしかありません。
製品とは有形の一般製造物(例えばテレビであったり、PCであったり、冷蔵庫であったり、自動車であったり、この世の中に存在するかたちあるモノ)で、サービスとは無形(例えば散髪、治療、修理、配達、移動手段など形はないけれど必要)なモノです。
ちなみに散髪屋さん、病院、修理工場などの建物や設備、スタッフの外見やクオリティなどは物理的に有形的な側面もありますが、あまり詳しく説明すると複雑になるので、ここでは割愛しておきます。

でもよく考えると”製品というモノ”にはほとんど”サービスというモノ”がひっついてきます(むしろそっちの方が本質)。
そこのところを理解せずして消費者に価値を届けるということは完全とは言えません。
せっかくなのだからあなたの持っている価値を完全に理解して、万全な製品・サービスをお届けしましょう。

 

Contents

一般製造物とサービスを因数分解する

価値を決めるのは相互間

企業がご提供する製品・サービスがお客様にとって価値あるものかどうかは相互間で決めるものです。
企業が決めるものでも、お客様が決めるものでもありません。
あくまでも互いのやり取りの中で価値は生まれていくものです。

どういうことかといえば、企業は提供しようとしている製品・サービスがお客様に届ける便益を最大にする工夫をし、ひとりでも多くの消費者に知ってもらえるようなコミュニケーション、セールス展開をします。
文章で書けば簡単ですが、そこには製品やサービスの企画アイデアから開発、生産、改良、マーケティング、コミュニケーション、販売などに関わる多くのプロフェッショナルな人々の能力を結集させています。
何らかのきっかけで製品やサービスを認知したお客様は、その製品・サービスを利用して評価を下します。
そして知人友人にその良し悪しを伝達します。

こうして製品やサービス固有の価値が創造されるのです。

製品・サービス価値の正確な評価予測

企業は製品・サービスが消費者にもたらす便益の束を予測して製品・サービスを提供商品にしますが、市場の評価がその予測を上回れば大ヒット、予測通りならヒット、予測以下なら失敗撤退となります。
なので予測が現実の評価を下回らないよう出来るだけ正確に分析しなければなりません。
提供しようとする製品・サービスが持つ価値の過大評価も過小評価もしない正確な判断が求められます。

便益の束を知る

そして、その製品・サービスがお客様にどんな便益の束を届けられるかを知るには、一般製造物とサービスの本質を知らなければなりません。

まずは一般製造物とサービスの違いを把握して、詳細に見つめるところから始めましょう。

 

 

一般製造物の特徴

一般製造物とは

製造物責任法の定義によれば「製造または加工された動産」、消費者庁の定義によれば「一般的には大量生産・大量消費される工業製品を中心とした、人為的な操作や処理がなされ、引き渡された動産」としており、不動産・未加工農林畜水産物・電気・ソフトウェアなどは含めないとしている。

簡単に言えば、目に見える形のあるモノ(有形物)のことです。

一般製造物の品質

では一般製造物において品質を決定するものはと言えば、学術的には ① 統計的品質管理(SQC…製品の品質特性を定め、それに影響する因子を突きとめることで「品質管理」の状態を導き出し、その状態を維持すようにする)、② 総合的な品質管理(TQC…企業は全員参加の活動であり、製造業の企業体質を強化し、同時に経営者自身が経営理念を具体化する)、③ 製造物責任法(PL法)、④ 技術者倫理、これらを品質管理の拡張において遵守されているレベルが一般製造物の品質である。

簡単に言えば、製造している会社の社長を筆頭に、開発者、技術者、製造担当者全員が会社の能力を最大に使って、社会に安全で安心のできる役立つ製品を、完全管理のもと提供している有形財ということです(全然簡単に言えてませんが)。

製造物の品質次元

では品質を構成する次元や要素は何でしょうか。

① 活動・働き(基本的な機能や活動)
② 付帯機能(車のクルーズコントロールなど二次元的な活動)
③ 信頼性(故障せず、安定していること)
④ 規格への一致(設計段階で定められた規格と基準に一致していること)
⑤ 耐久性(予定された期間を活動し続けられること)
⑥ サービス要素(修理のしやすさとメンテナンスの受けやすさ)
⑦ 美的要素(五感への感じ良さ、デザイン)
⑧ 認知される品質(消費者の製品についての総合的な品質の判断)

 

 

サービスの特徴

サービスとは

次にサービスについての定義を見てみると、「ある経済主体が他の経済主体の欲求を充足させるために、市場取引を通じて、他の経済主体そのものの位相、ないしは他の経済主体が使用、消費するモノの位相を変化させる活動そのもの」とされています。

ちょっとよくわかんないですね。

もう少し具体的に定義すると、サービスとは
①無形性
②消費と生産(販売)の同時性
③顧客との共同生産
④結果と過程の等価的重要性

サービスとは売り手と買い手の相互制御活動であり、目に見えない無形(有形のものもある)の商品や活動のことです。

サービスの品質次元

一般製造物とは違い、サービスは買い手の目的構造がかなり複雑なので、そのサービスの品質がいいのか良くないのかの測定が非常に難しいものです。

例えば車の車検、ある人は「法で定められているから受けなきゃダメ」だから車検を通す。別の人は「安全のため車を定期的に診断しなきゃ不安」だから車検を受ける。この消費者ニーズの通す受けるを修理業者さんが間違えると、消費者からすれば提供される車検サービスに対する満足度は随分違ったものになるでしょう。

そういうことです。

サービスの品質を測定するのには「SERVQUAL」という測定概念のアレンジがよく使われます。

「SERVQUAL」の基本次元とは
① 物的要素(物的施設、設備内容、スタッフの外見等)
② 信頼性(サービスの遂行に関して信頼でき、依存できるような提供者の能力、期待する結果が実際に提供されること)
③ 反応性(顧客を援助し、素早いサービスを提供する意欲)
④ 資格(サービスの遂行に必要な技術と知識)
⑤ 礼儀(顧客への丁寧さ、尊敬、配慮、親近感)
⑥ 信用性(信じるに足る人・組織かどうか、正直さ、期待する結果が得られるという予想についての確信)
⑦ 安全性(危険なリスクや疑念を抱かないですむかどうか)
⑧ アクセス(近づきやすさ、接触のしやすさ)
⑨ コミュニケーション(情報提供と顧客の意見の聴取)
⑩ 顧客の理解(顧客のニーズを知ろうとする努力、ニーズやウォンツに対する敏感さ)

これら基本次元をより高度に提供するサービスに転化させることで、顧客はサービス品質の良し悪しを評価する判断基準に置き換えられるのである。

サービス品質のカテゴリー

それぞれの提供するサービスを評価するにはどんな項目があるのか、もう少し踏み込んでみましょう

サービス品質のカテゴリーとは
①結果品質(当該サービスがどんな効果をもたらしたのか)
【評価項目】目標達成度、品揃えと選択可能性、カスタマイゼーションの程度、プリ/アフターサービスの充実度、必要な場合の例外的対応や事後処理の適切さ
②過程品質(人的資源の質を中心に、参加している顧客がその過程をどのように体験したか)
【評価項目】知識・技能の水準、マンパワー量の適切さ、礼儀正しさ、プライバシーの尊重の態度、スピード、事前・最中・事後の情報提供の充実度と提供方法の適切さ、課題問題への理解力・共感力、公平さ
③道具品質(コア・サービスの結果を生み出すための道具となる要素の質〔ヒト・モノ・システム〕)
【評価項目】建物・設備の充実度、快適度、備品等の安全性(衛生・火災・物理的)、物的要素の美的水準、プライバシーを配慮した設備、営業時間、立地条件(利潤性)、入手コストを下げるシステムの工夫、契約内容の明確度、パンフレットやガイドブックなどの充実度、苦情対応システムの適切さ
④費用(消費者が当該サービスを入手するために支払う犠牲〔金銭的・肉体的・精神的・時間的〕)
【評価項目】価格の適切さ、価格以外の金銭的費用の適切さ、費用についての情報入手のしやすさ、消費者の手間ひまの少なさ、消費者が感じる惜しみなさ、消費者が被る時間短縮への工夫

 

 

製品・サービスのコンセプトを考える

そもそもコンセプトとは?

製品でもサービスでも、企業が提供できる価値は消費者にどういった便益を与えることができるのか、他の製品・サービスと比べて何が優れているのかをお客様にも従業員にも関係関連会社の方々にも社会にもお伝えしなければなりません。

消費者の感じるニーズをユニークに充す、その事業や製品・サービス固有の便益を凝縮的に一言で表したものが「コンセプト」です。
コンセプトとは企業の価値を内外に明確で端的に発信するとっても大切な概念です。
でもユニーク(他との違い)に、消費者の潜在的なニーズを代弁し、得られる便益をイメージさせる一言ってなかなか難しいですよね。

コンセプトを考えるには、市場分析、現場で起こっている現実、時代の流れ、コンセプト対象が生まれてきた背景、社会にもたらす利益、そして社会にもたらしたいビジョンなど、右脳と左脳をフル回転させて捻り出さねばなりません。
一筋縄ではいかないので、世の中の企業や製品コンセプトの例を参考にみてみましょう。

消臭スプレー

ファブリーズ
「洗えないものを洗う」

1998年に布用消臭芳香剤として発売されましたが、日本では汚れたら洗濯するという生活習慣が根付いていました。これが「布の臭いをとる」ならここまで大成功していなかったでしょう。ソファやカーテンなど普段洗えないものにターゲットを絞ったわかりやすい一言です。

コンビニコーヒーの例

セブンイレブン
「1杯ごとに挽きたてのドリップ」

”貴方のためだけに1杯づつ豆を挽いてドリップする喫茶店やお家で手間をかけて淹れる美味しいコーヒーを、コンビニで手軽にスピーディーに安価でご提供しますよ〜”って14文字で見事に伝えていますよね。

ポータブルmusic

iPod
「1000曲をポケットに」

”え?どういうこと?曲がポッケに?しかも1000曲も?”
見事に消費者の興味喚起を引きつける秀逸なコンセプトです。

スニーカーの例

リーボック
「履くだけのジム」

”体力をつけたい、痩せたい、鍛えたい、でもジムに通うのって時間もお金もかかるし、何よりわざわざ行くのって面倒だよね、でもこのスニーカーをただ靴箱から取り出して履くだけでジムに通う効果を得られるんですよ〜”ってわずか7文字でイメージさせちゃいます。

飲食店

俺のシリーズ
「一流の料理人が高級食材をジャブジャブ使用した一流料理を驚くほど安く提供する」

このコンセプトだけで週末のレストランは決まりますよね。

コードレス掃除機

ダイソン
「吸引力の落ちないただひとつの掃除機」

ユニーク(他社との競争優位)を前面に出した一言

 

その他

リゲイン
「24時間働けますか」

ウィダーinゼリー
「10秒チャージ」

アスクル
「明日届く」

USJ
「世界最高をお届けしたい」

ディズニー・テーマパーク
「ファミリーエンターテイメントの実現」

 

企業経営にとって大切な概念

コンセプトとは市場とのコミュニケーション、外部情報の翻訳、企業内部の意思決定の拠り所、戦略・戦術・実行の指針となります。
製品やサービスの構成はコンセプトに基づかなければならないし、経営戦略やマーケティングはコンセプトに沿ってマネジメントしなければなりません。

だから企業経営にとってコンセプトはとっても大切な上位概念なんです。

 

まとめ

一般製造物とサービスの品質を因数分解して読み解いていくと、なぜ顧客満足が大切なのか、なぜ次元や構成要素を理解しないといけないのか、なぜコンセプトは重要なのかということがわかってきます。

中世のヨーロッパで、とある稀代の王様がお城を建てさせている時、土台の礎となる石材を加工している職人に尋ねました。
王様「お前の仕事は何だ」
職人A「石を切る仕事です」
職人B「王様が喜ぶお城を建てる仕事です」
職人C「歴史に残るお城を建てる仕事です」

美容師にあなたの仕事は何ですかと聞きました。
美容師A「髪の毛を切ることです」
美容師B「その人をオシャレな髪型にすることです」
美容師C「髪型でその人の人生を変えることです」

自動車修理のメカニックにも聞きました、
メカニックA「自動車を直すことです」
メカニックB「故障を直し、お客様に性能の100%を届けることです」
メカニックC「お客様に安全と安心、快適性をもたらし、素晴らしいカーライフをお届けすることです」

 

”皆様の会社の自慢の製品やサービスを、どのタイプのスタッフに提供してもらいたいですか?”

 

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