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映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」にみる心理的安全性

Date:2021.10.21

先日、

来客が増えてきたこともあり、事務所を素敵な雰囲気にしたくて
リフォーム業者にコンタクトをとりました。

そして、打ち合わせの時間にお待ち申し上げていました(シャワーを浴びて、身なりを整えて)。

 

そのリフォーム業者とは初めての取引でしたが、

なんとなく、店構えが気になっていたという理由で

突撃架電した次第です。

 

最初に電話に出たセールススタッフと打ち合わせの日程を決める際、

私が、「午後から仕事が入っているので、午前中のできるだけ早い時間がいいのですが」

と尋ねたところ、

「朝一ならam10時はどうですか」と提案されたので、

「では、その時間でお願いします」と

現場確認をかねて私の事務所で打ち合わせすることとなりました。

 

そして、約束の時間にお待ち申し上げていたのです。

 

 

しかし、

 

 

来ない…。

 

 

約束のam10時を過ぎ、am11時になり、とうとうお昼になりました。

 

昼からのwebミーティングをpm3時に終えた頃、

 

 

「ピンポ〜ン」

 

 

やってまいりました。5時間遅れ。

 

 

「あれ?今日の約束の時間ってam10時じゃなかったっけ?」

と問いただすと、

 

「え? そうでしたっけ?」と彼。

 

「いや、リマインドの連絡もなかったからam10時にお待ち申し上げておりましたのに…」と私。

 

「すみません。。。勘違いしていました。。。ご迷惑を…」と彼。

 

一呼吸おいて、

「それではお時間を無駄にしちゃったので、早速、現場を拝見させていただきます」と彼。

 

「え…、観るの!?」と私。

 

「??  はい(そのために来たのですが的な)」と彼。

 

「よ、よろしくお願いします」と私。

 

 

何かがおかしい、何かが!

 

 

と感じつつ、

ついワクワクしながら事務所のリフォーム案を熱烈に伝えてしまっていました。

 

 

意気揚々と帰っていく彼の後ろ姿を見送りながら、

 

「自分のセールスという職種の常識は、もはや時代遅れなのかも…」

と自問していました。

 

 

ということで、

今回観た映画は

 

Contents

“ものすごくうるさくて、ありえないほど近い”

 

映画の概要

 

2011年に公開された本作品は、

トム・ハンクスとサンドラ・ブロックの2大アカデミー賞スターの初共演で(もはや脇役ですが)、主演がトーマス・ホーンという10歳ほど?の素晴らしい演技をする名子役によるハートフル・ロードムービーです。

 

映画のあらすじ

 

大好きなトム・ハンクス演じるお父さんを9.11で失くした少年オスカー(トーマス・ホーン)が、1年経っても立ち直れずにいるなかで、ひょんなことからお父さんの書斎からひとつの鍵を見つけ、その鍵にあう鍵穴を探すといった流れでドラマは展開していきます。

オスカー少年は、コミュニケーション能力が低く、都会(舞台はNY)の喧騒が苦手で、社会性に乏しいが、感性や感覚が鋭く特定の物事に強いこだわりを持った(医学的にはアスペルガー症候群と呼ばれている)個性の強い少年でした。

オスカーを陰ながら支える母親役をサンドラ・ブロックが演じているのですが、
このお母さんの忍耐強さといったら、
リフォーム業者に5時間待たされた私の比じゃないほど、
それはそれは愛情深いものです。

オスカーを支えるのはお母さんだけではありません。
言葉をしゃべれない祖父と優しさいっぱいの典型的な祖母、歯に衣着せぬ物言いのオスカーに対して大人な対応のマンション管理人、父親を亡くした少年を思いやる鍵穴の候補者たち。

オスカー少年は、その類稀ない感性と感覚と洞察力で、NY中に住む472人の鍵穴候補者を絞り込みました。
社会性に乏しく都会の喧騒が苦手にも関わらず勇気を持ってひとりずつ訪問しては、
時には挫折し時には愛情に包まれながら、
次第に大好きなお父さんを失くして閉じこもっていた自分の殻を破っていくのでした。

そして、ついに鍵穴をもつ人物に出会えたのですが・・・。

 

個人的な感想

 

ぜひ、本作品をご覧ください。
お薦めいたします。

 

素晴らしい映画です。

 

実は、私、今回初めて本作品を鑑賞したのですが、

10年もこんな素晴らしい映画を見過ごしていたなんて、

 

不覚でした。

 

映画と心理的安全性

 

この素晴らしい映画を観ながら、

なぜだか、昨今チームビルディング周辺で流行りとなっている「心理的安全性」を重ねていました。

 

心理的安全性とは

 

1999年に組織行動学を研究するエイミー.C .エドモンドソンが提唱した「心理的安全性」。

 

エドモンドソン教授によれば、心理的安全性とは

「チームのメンバーが、それぞれに不安を抱えることなく、自分の考えを自由に発言できたり、行動に移したり、対人関係上のリスクをとったとしても安心できるという共有された信念」

と定義づけています。

つまり、

忖度や空気を読むといった偽りのつきあいを必要とせず、

本音で語り合えて本心で接し合う真のつきあいを保証されている状態のことを指します。

 

心理的安全性が担保された組織

 

他人から無知だとか、無能だとか、邪魔だとか、ネガティブだと思われる不安がなく、

失敗を避けることによるリスクが逓減し、失敗から得られる成長が促進されます。

また、

お互いを尊重し合い、信頼し合い、助け合う意識が高くなります。

 

心理的安全性が特に注目された背景

 

米google社による

「なぜ優秀な人材が集まっているのに、優れたパフォーマンスをあげるチームとそうでないチームが存在するのだろう」

という問いを解明するために2012年に立ち上げたプロジェクト

「Project Aristotle」

が発端でした。

 

 

このプロジェクトでは、

社内の180のチームを長期にわたって追跡調査をし、膨大なデータから

「優れたパフォーマンスをあげるチーム」

の条件を解析しました。

 

その結果、効率的に成果をあげるチームの特徴には、

「優秀な人材の存在」とかでなく、

「チームのメンバー同士が協働し協力しあう文化の存在」にありました。

 

そして、2015年にgoogleは研究結果をまとめ、以下の内容を公表しました。

 

チームを成功へと導く5つの鍵

 

心理的安全性:

チーム内で失敗をしても、それを理由に非難されることはないと思えるか。
自身のアイデアの提案や発言などに不安を感じず、リスクをとる行動を取れるか。

相互信頼性:

チーム内のメンバーは、一度引き受けた仕事を最後までやり遂げてくれると思えるか。
互いに信頼して仕事を任すことができるか。

構造と明瞭さ:

チームには、有効な意思決定のプロセスがあると思えるか。
チームの目標や役割分担、実行計画は明確か。

仕事の意味:

チームのためにしている仕事は、自分自身にとっても意義があるか。
チームメンバーは与えられた役割に対して意味を見出しているか。

仕事のインパクト:

チームの成果が組織の目標達成にどう貢献しているかを理解しているか。
自分の仕事が組織や社会に影響をもっていると感じられているか。

 

なかでも最も重要な要素が「心理的安全性」であると報告されました。

 

 

心理的安全性が担保されている組織が得られる4つの効果

 

活発な情報共有:

メンバーが発言しやすい環境であるため、些細な懸念や未完成のアイデアなども気軽に発信でき、チーム内の情報交換が活発化します。
また、それぞれの得意分野の知識共有ができ、チームとしての知識の蓄積が促進されます。
ミスや失敗といったネガティブな事案でも隠さず報告されるので、問題を共有したメンバーによる有益な議論が可能となります。

イノベーションの創発:

情報共有のベースが構築されると、チームで協力しあえる関係性ができ、コミュニケーションの活性化、アイデアの活発な交換、チーム内の学習が促進されます。
そして、各々のメンバーの個性が発揮されることで、多様な価値観や能力が結集され、さまざまなアイデアや意見からイノベーションが生まれやすくなります。

従業員エンゲージメントの向上:

これらの環境が整うことで、メンバーそれぞれが仕事にやりがいを感じられ、主体的な行動が増え、モチベーションが高まります。
また、自身をありのままに表現できる安心感は、職場の居心地を良くします。
結果、個人のパフォーマンスが向上し、組織の生産性が大幅に改善され、離職率の低下にもつながります。

その他のメリット:

・人材のもつポテンシャルの最大化
・円滑なコミュニケーションによる作業効率の向上
・各メンバーの思考や将来ビジョンの明確化
・学習する組織の構築
・イノベーションが生まれやすい環境の構築
・建設的な議論がおこなえる環境の構築
・優秀な人材の流出や退職の抑制

など

 

 

心理的安全性が担保されていない組織

 

一方、心理的安全性が担保されていない組織では、多くの従業員が自己呈示行動や自己印象操作をおこない、
本当の自分を偽りながら働いている状態となります。

こうした状態の組織では、

・本来の能力を発揮できない
・仲間との信頼関係が築けない
・イノベーションが生まれない
・チームのパフォーマンスにネガティブな影響がでる

など、誰もが理想としない職場環境へと進んでしまいます。

 

ちなみに、弊社では、
クライアントさまの組織や部署、チームなどにこうした心理的安全性が醸成されるコンテンツを提供しています。

https://gm-institute.co.jp/service/service2.html

 

 

本作品と心理的安全性がつながる要因

 

さて、そんな素晴らしい映画と

心理的安全性がどうしてつながったのか。

 

映画を観ながらその理由をずっと探していました。

 

そして、思い当たりました。

 

その訳は、
心理的安全性を高めるための条件によるものだと。

 

 

組織の心理的安全性を高める4つの条件

 

組織に心理的安全性を醸成するためには、
以下の4つの条件を満たさなければならないと後続の研究で主張されています。

 

メンバー間の相互理解を深める

 −1on1 ミーティングの活用

 −多様な価値観を認め合う

 −互いに助け合える関係性の構築

 −経験へのサポート

 

発言しやすい環境や雰囲気の醸成

 −職場チーム内での共通認識をもつ

 −発言機会を均等に与える

 −チェックイン・チェックアウトの活用

 

ポジティブ表現やポジティブ思考の浸透

 

チーム編成の見直し

 

 

そして、注意すべきは、

心理的安全性は決して「馴れ合いの関係」や「放任」ではないということ。

*この辺の詳細は、さらに長文となりそうなので割愛します。

 

 

映画の主人公、オスカー少年は、感じたことや思いついたことを “そのまま” 口にします。

相手を傷つけることもままあります。

また、浮かんだアイデアや思いついた施策を “すべて” 行動に移します。

周りの人々に迷惑かけ放題です。

 

でもね、

口にしたことは、“(ほぼ)そのまま” 真実だったりするのです。

行動することは “(ほぼ)すべて” 正しい方向に進むのです。

 

そして、

そんなオスカー少年の傍若無人ぶりを
母親や祖父や祖母たちは、傷つきながらも大きな愛で包み込み、
陰ながら成功へと導くのです。

 

オスカー少年の無邪気な振る舞いに
関わるすべての人々は、迷惑をかけられながらも
心の奥にある純粋で正直な感情に気付かされるのです。

 

 

組織に心理的安全性を醸成する最大の鍵は、

「リーダーのリーダーシップ」

というのが結論です。

 

まさに、この映画の脇役たち(お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、管理人のおじさん、鍵穴の候補者の人たち)は、
見事なリーダーシップによって個性豊かな少年に心理的安全性を提供しています。

 


*リーダーシップについての詳細はこちら → https://gm-institute.co.jp/752

 

そして、また、少年によって脇役たちも多くのものを与えられるのです。

少年と脇役たちとの間にGIVE & GIVE の相互作用が発生したのです。

 


*GIVE & GIVE についての詳細はこちら → https://gm-institute.co.jp/823

 

 

この映画には、

優れた組織にとって必要な要素がとってもたくさん詰め込まれているのです。

 

鑑賞の価値ある映画ですので、是非。

 

 

 

おしまい

 

 

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